心気はそもそも十分に働かないものであるからこそ
養志が必要である。
それは、人間が欲深い生き物であることを意味する。
欲するものが多いとき、心気は分散してしまう。
心気が分散すれば志は衰え思慮は十分に働かなくなる。
抑えきれない欲望によって心気は常に影響を受けやすいがゆえに
養志によって、欲望をコントロールすることが大切なのである。
心とは気(心気)をおさめた容れ物であるが
心を一つに集中することで、心気の分散を防ぐことができる。
そして、心を一つに集中することによって、外に人を知ることができる。
心に迷いはなくなって、その相手に何をさせるべきなのかも
明らかに知ることができる。
この養志を養う方法として、自分の心が何をしていれば
落ち着くのかを観察しそれを前提に自分に何ができるかを知ることだ。
それは、外発的な動機(名誉や報酬、評価。または罰則や懲罰)ではなく
自らの本心からくる内発的で揺るぎない志であり、またそれを養うことが
大切である。
そして、揺るぎない志の反面、外に対しては環境に柔軟であることを求め
人の心を知り、相手の欲望をコントロールすることを大切と説く。